機械学習プロジェクトを成功させるには?

こんにちは、シバタアキラです。この度弊社では日本版のDataRobotブログを開始する事となりました。機械学習の自動化を通じて皆様がどのようにビジネスを成功して行けるのか、ティップスや使い方を中心に積極的に発信していきます。1つ目の記事の今回はこのブログを発信するに至った経緯を少しお話させていただきたいと思います。

おかげさまで日本でのDataRobotの認知はどんどん広がっています。ビジネス的な話から入ると、数こそまだ公開できないものの、ご購入いただいているユーザー様の数はすごいスピードで増えていて、私達としてはありがたいと同時に毎日嬉しい悲鳴を上げています。折しもAIが大きな脚光を浴びているここ数年、その中核技術である機械学習を自社で活用したい、という強い興味を持った方々が溢れているところに、(手前味噌ながら)素晴らしい製品をお届けすることができるのは、私達にとっても大きな喜びです。

DataRobotユーザーは成功しているのか?

一方で、私達が現在一番の目標にしていることは、DataRobotユーザーを増やすことではなく、DataRobotを使ってお客様に成功を手にしていただくことです。それはつまりお客様にDataRobotを使って新しい価値を生み出して頂くということで、一般的にRoIと言われます。弊社ののライセンス体系は年更新のサブスクリプションとなっています:お客様が実際にRoIを体感していなければ年周期で継続を再検討して頂くことになっており、それは私達が必ずDataRobotユーザーを成功させるぞ、という決意の表れでもあります。

では実際はどうなのかと、正直に申し上げると、うまくいっているケースが多数の一方、まだうまく行っていないケースも少なからず混在しています。機械学習に限らず、全く新しい技術を会社に導入していくと言うのは一筋縄では行きません。私たちはこの一年、様々なケースから多くを学び、失敗も体系的に理解されるようになってきました。そのことをこれから機械学習の自動化を導入される皆さんに共有することで、今後の成功確率を高めていきたいと思います。

ツールを入れたらバラ色、ではない

機械学習を「レンジでチンする」くらい簡単にしてくれる、すごいツールなので、DataRobotのご購入をされるお客様の期待値には高いものがあります。これを入れたらデータサイエンティストがいなくてもデータ活用がバンバン進み、会社のAI化がどんどん進むだろう、という夢が現実のものになる。データ活用が人材不足のボトルネックで進まなくなる昨今、DataRobotはキーとなる一パーツではありますが、活かすも殺すも使う側に委ねられる部分はあります。何よりも、「これさえ入れればもう大丈夫」と言うのは事実であれば良いのですが、実際には過度な期待値と言わざるを得ません。では何に注意して行くべきなのでしょうか?

正しい活用ロードマップと、そこに至るまでの道筋

機械学習を導入し、自社でどのようなことを達成したいのか、というお話をさせて頂くと、多くのケースで賛同をいただけるお話は「機械学習技術の民主化を行い社内の様々な人材が新しい価値創出をできるようになって欲しい」ということです。この大きな目標を現実にするためには、そこに到達するまでの活用のステップをブレークダウンして行き、イメージを高めて行くことが重要です。特にイノベーション推進母体はこのようなビジョンとロードマップを上下左右組織の各所に明示して行く役割を持っています:

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  1. プロジェクトの成功:具体的に足元からどのようにして初めて行くのかというと、兎にも角にも成功体験を積み上げていくことです。組織での新技術活用には事例創出が不可欠です。それも事業にインパクトの有る社内事例であればなおさらです。まず最初は少数の事例におけるプロジェクト(多くの場合は小さなチームもしくは個人レベルで行われる)をベースに、課題設定からインプリ・デプロイまでを実践するサイクルを着実に回し、予測モデルの定常運用化を行っていきます。弊社でも、PoCやW&Rという初期プロジェクトを通じて、このプロセスをご支援しています。
  2. 組織レベルの成功:少数の成功事例が会社内で認識される用になると、このようなプロジェクトをもっと増やしていこうというイニシアチブが自然に広がっていきます。そうなると少数の人達が片手間でこれに当たるという体制では対応しきれなくなり、データ分析や予測モデル生成を主目的にしたグループが形成されていきます。このようなチームではCenter of Excellence (CoE)などと呼ばれ、前述のプロジェクトの成功を更に量産して行くための体制を整え、自発的に新しい課題に取り組み、定常的に解決を行っていけるようになります。
  3. 民主化の実現:組織レベルでの成功が達成されると、会社全体に機械学習を使っていくカルチャーが根付いていきます。会社の様々なところで「こういったテーマなら、機械学習でうまく解けるのではないか」という起案がいたるところでされるようになり、CoEはてんてこ舞いです。一方で、会社前提のリテラシーも上がっているので、DataRobotのようなツールを渡してトレーニングをしてあげることで、自分でモデルを作れるようになる人達も増えてきます。この頃になるとCoEの役割として会社全体への技術の民主化を行っていくための先導を取ることが期待されていきます。

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利用初期からインパクトの有る、良いテーマを選ぶ

機械学習の民主化に向けたロードマップと、そこに向かうためのステップを駆け上がる上で、まずはスタートが肝心です。たまにいらっしゃるお客様で、「まずはツールの評価をするために、当たり障りのないテーマから始めます」というお客様がいらっしゃいますが、これは間違ったアプローチです。ツールを評価するのだからデータであればなんでも良い、という考え方は、理論的な正しさを秘めているようにも見えますが、実際の利用現場では、ツールの出したインサイト、予期されるRoIへの換算が行われて初めてその真価を理解することができます。ですから、「DataRobotはいいツールだけど、今回の検証では自分たちに有用なインサイトは何もない」となってしまうと、技術そのものに対する不満・落胆につながりかねません。一方で、最初から会社全体を揺るがすような大それたテーマを目指しても、お尻が見えてきませんので、最初は特に数ヶ月で効果検証可能なテーマに絞るのが懸命です。

出口設計

非常に重要なステップでありながら分析テーマに取り掛かる前によく見逃されがちなのが「出口設計」です。

  • この分析の結果、事業にどのような影響(RoI)があるのか
  • そのRoIは計測することができるのか
  • 事業部(Line of Businessの略でLoBと呼ばれる)は実際にこの分析結果(予測モデルを)使いこなせるのか
  • LoBが事業にインプリする上で課題になりうることは何か
  • その場合、モデル予測をそのまま使えなかったとしても事業にどのようないい影響を与えることができるのか

データ活用において忘れてはいけないのは、分析やモデル生成はそれだけではまだ価値を生み出せていないということです。実際にインパクトを生み出すためには、その結果が事業で使われるようにならなくてはいけません。使われる結果を生み出すためには始める前から、出て来るアウトプットをイメージし、それが事業部でどのように受け止められるのかをシミュレーションします。受け止められ方だけではなく、アウトプットが本当に現実のビジネスで役に立つものなのか、ということを考える必要が有ります。

事業部門の巻き込み

出口設計を行っていくためには、分析担当者・チームができるだけ早いタイミングから事業部門を巻き込んで行く必要が有ります。アウトプットが役に立つか、以前に、そもそも事業部では問題とも思われていない課題を解いても結果につながりません。そのようなことが起こってしまうタイミングの一つとして、データ活用チームが新設された時が挙げられます。データの準備や可視化、予測モデルの生成等に色々なツールを使って立ち向かうということは難しいけれどワクワクする問題です。けれども、実は結果が出始めてからこそが本当のチャレンジということを、身をもって経験していないと「いい結果が出たら、事業部に持っていって話をしてみよう」というアプローチに陥りがちです。事前にドメイン知識をもった事業部門をうまく巻き込まないと課題設定やデータ収集の時点でつまずいてしまうだけでなく、分析結果が出ても「面白い結果が出たね」というグッドジョブ的なぬるいコメントでプロジェクトが締めくくられてしまうのです。

人間の性を忘れない

このように、機械学習でプロジェクトを成功させていくためには様々なアンチパターンに事前に注意することが重要です。DataRobotではトレーニングやプロフェッショナルサービスのご提供も含め、様々な形で「AIの民主化」をお手伝いさせていただいていますが、その中で得た教訓は

人間は放っておいたらAIを作っただけで満足してしまい使うところまで至らない

ということです。モデルの精度が良い場合でも、それを現場にインプリしていくためにはいろいろな障壁があるのです。新しい技術に対する恐れや、モデルのデプロイに必要となる技術力不足、そして上記にお話させていただいたポイントも含め幅広い理由が存在するため、「現状維持でいいか」というステータスクオに陥ってしまうのは簡単です。DataRobotを使っていただくことで、より良いモデルをより早く作っていただけることは素晴らしいことです。そしてそうやって作っていただいたモデルを実際の現場で活用していただき、大きなビジネス価値を創出していくことに私たちはコミットしていきますので、みなさんも壁にぶち当たったときにはお気軽にご連絡下さい。

募集中

弊社では上記のような問題を様々なお客さんと一緒に解決してくれるメンバーを募集中です。データサイエンティストから営業まで、様々なポジションでの採用をしておりますので、ご興味のある方は是非こちらを御覧ください。

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